バイクの運転テクニック

バイクの正しい回避制動について

人の運転行動の3要素を認識して事故を防ぐ

一般道路をバイクで走行していると、自動車や歩行者の飛び出しは、いつ何処で発生するか予断を許さないリスクです。
高速道路においても歩行者はいないとしても年間数万件という道路上の落下物が報告されています。

飛び出しや落下物のような緊急事態に直面した際は、早期にリスクに気づき、判断して回避するアクションを起こせるか否かが重要ポイントです。
人がクルマやバイクを運転する行動過程には「認知・判断・操作」の3つの要素があり、回避制動は全てが正確でスピーディに行われなくてはいけません。

交通事故の大半がこの3要素に関する遅れやミスが原因となっています。
事故を未然に防ぐには、リスクを可能な限り早く認知して、如何に対処するかを瞬時に的確に決めて動く必要があるのです。
そのため運転への集中は当然として、スピードを抑える事も有力な手段です。
スピードが出れば出るほど人の視界は狭く、認知が遅れ入る情報も少なくなり、間違った判断をしがちになります。

また、慌てるとミスも生じやすくなってしまいます。
日ごろからリスクを予測しながら走行し、制限スピードを厳守して無理せず運転する事が必要です。
ライディングスキルの上達ももちろん事故の予防には役立ちますが、その前に謙虚な心と安全遵守意識を持つことが重要です。

白バイ隊員の回避行動トレーニング

白バイ隊員のトレーニングのうち、特異的な訓練に回避制動があります。
設定された一定のスピードでストレートな道路を走行しながら、光電管を通り過ぎた瞬間、シグナル表示どおりに左右どちらかに避けて安全に停車させるというモノです。

回避行動の具体的なテクニック

前半は瞬時に車体の向きを変更して回避のタイミングを作り、後半は短距離で静止状態まで停車できるための急制動のテクニックが求められます。
全体を通して重要なポイントは運転に集中しつつも体はリラックスを保ち、ニーグリップでタンクを挟みキッチリ下半身を安定させることです。

リラックス状態でないと機敏な動きは不可能ですし、車体と一体となっていないと、機敏に制動しても体を支持出来ないのです。
回避ではリーンアウト的なフォームを作り、アウトサイドの膝でタンクを抑え車体を倒し込むきっかけにします。
インサイドに体重を乗せたり、逆ハンドルを切ったりしてもキッカケ作りは可能ですが、あくまでも補助的なアクションです。
車体の進行方向が変われば車体がまだ傾いた段階で既にブレーキレバーに指を掛けた状態にします。

障害物を避ける事が出来れば、直後に車体を起こしてフロント・リヤの両ブレーキをロック寸前まで駆使してスピードを落とし停車に持ち込みます。
この時は、上半身の安定を保つために膝でタンクをしっかり挟み込むニーグリップが重要です。